作中のクエストとは内容が違う場合がございます。というか違います。
「でも、もう引き受けちゃったんだからしょうがないじゃない」
ここは、ファルクリースの宿屋デッドマンズドリンク。
私達は、ファルクリースの首長から山賊退治の依頼を聞かされた後に、ここで一泊するつもりでいた。
ファルクリースの首長から是非一度会いたいとの手紙が届き、ドロテアと二人で馬車に揺られてファルクリースまで来た。
で、首長に会ってみたら"裏で取引していた山賊が煩わしくなったので退治してくれ"という内容の話をされてしまった。
断る事も出来なくは無かったが、裏取引をしていた事を知った私達を無事で返す保証は無い。
「そこまでいかなくても、あそこで断る事は"あなたとは金輪際手を組むつもりはありません"って事になるし、今後のファルクリースでの行動がかなり制限されちゃうわよ」
「それは分かってるけど・・・あの首長は好きになれないわ」
「それは私も同じよ。一応首長なんだからおだてて利用してやるくらいの気持ちで接してればいいのよ」
「そんなもんかねえ・・・」
「まぁ今日はハチミツ酒でも飲んで、明日山賊退治に出掛けましょ」
ドロテアはまだ納得がいかないという風ではあったが、ハチミツ酒を数杯飲み早々に寝てしまった。
山賊の根城はバイルガルチ鉱山という山腹にある砦のような場所だった。
ここはかつてオリハルコンの鉱山で今もオリハルコンというオーク装備の原料が採れるはずだが、今は山賊の根城として機能しているようだ。
「人数は多くないね。今回もアタシが前衛でやるからアイナはサポートを頼むわ」
傭兵の経験からかドロテアは既に気持ちの切り替えが出来ているようだった。
「分かった。でも、私も剣を新調したしそれなりに戦うわよ」
私は腰に下げた剣を指してそう答えた。
私達二人は数日前に武器を買い換えたばかりで、特に私はそれまでのメイスから片手剣とダガーの二刀流に変えていた。
「そうだね。実戦での扱いには早めに慣れておいた方がいいわね」
山賊退治は手馴れたもので対して苦労することも無かった。
「剣の扱いは結構サマになってるじゃない」
「そ、そうかな?」
面と向かって褒められると照れてしまう。
「ああ、あとは左手のダガーでの受け流しが出来れば一人前さ」
「それは結構難しいね。今度教えてよ」
「アタシの教え方は厳しいけど、それでも良ければいつでもいいよ」
「す、少しは手加減してよね・・・」
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