2015年4月22日水曜日

似非スカイリム物語 従者

※ロールプレイですらないでっち上げの物語です。




「お嬢ちゃんは一人で旅行かい?」
 ホワイトランへと向かう馬車の上で少女に話しかけてきたのは、先程まで連れの黒髪の女と話をしていた鎧を着た女だった。
「一人じゃないわソフィーも一緒よ。」
 少女は膝に乗せた人形を撫でながら答えた。
「おっと、これは失礼。お友達と一緒だったか」
「ホワイトランのおじさんの家に行くの。お父さんとお母さんが馬車までお見送りしてくれたのよ」
「そう、良かったわね」
 鎧の女は少女に優しく微笑む。
「おじさんは衛兵のお仕事をしてて、いつも・・・」

 ガタンと音を立てて馬車が急に止まった。
 ホワイトランまではまだ距離があるはずなのにおかしいと、鎧の女が御者を伺おうと見ると馬車の前に男達が立っているのがみえた。
「有り金と荷物全部ここに置いていきな!そうすりゃ命までは取らねえ!」
 どうやら男たちは、この辺りを根城にしている山賊のようだ。

 少女は山賊の声におびえ人形をぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫だよ、お友達をしっかり抱きしめててあげな」
 鎧の女はそう言って少女の頭を優しく撫でると黒髪の女に続いて馬車をおりた。

「さて、山賊諸君!何も取らず大人しく引き下がってくれと言っても聞き入れないのだろう?」
 山賊らと対峙した黒髪の女の凛とした声が朗々と響き渡る。
「なんだ手前らは!そんなもん聞くわけねえだろ!」
 相手を女と見くびりつつも、ただならぬ雰囲気を漂わせる二人に山賊たちは身構える。
「うむ、それならば私たち二人がお相手して差し上げよう」
 そう言うと黒髪の女と鎧の女はすらりと剣を引き抜く。
「ハッ!かまわねえぜ!死体から盗むほうが楽だからな!」

 少女は馬車の中で二人を・・・いや、鎧の女の戦う様をずっと見ていた。
 いや、見惚れていた。
 きらめく剣に・・・頑強な盾に・・・友の背を守る堅固な要塞のような姿に・・・足元に落ちた人形に気付かぬほどに見惚れていた。




 あれから十年以上の月日が経った。
 剣と盾と鎧、あの日以来一日たりとて訓練を欠かした事は無い。
 実戦の経験こそ少ないが、ここホワイトランで五本の指に入るほどの腕になったという自負がある。
 だが世界は広い、まだ見ぬ世界と・・・守るべき背を私は求めている。
 「ここにいたのか」
 ・・・指揮官
「首長の要望でな、お前に新しく従士になられた方の従者になってほしい」
 新しい従士・・・?
 「いまドラゴンズリーチで首長と話をしているはずだ。なんでも伝説のドラゴンボーンらしい」
 ドラゴンボーン・・・伝説の・・・
「じゃあ任せたぞ」

 首長との話が終わったらしい。
 あの人が従者様・・・伝説のドラゴンボーン・・・私が背を守る相手。
 一目見ただけで分かる、私はこの日の為に生きてきた。
 でも、緊張はしていない、話しかける言葉は決まっている。


「あなたの剣となり盾となりましょう」

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