夜もふけた頃に、私は頭に叩き込んだ見取り図とオルフリッドの言葉を思い出しながらドラゴンズリーチに忍び込んだ。
『ドラゴンズリーチの広間までは誰でも入ることができる。特に偽装する必要も無い。
ただし首長のバルグルーフに近付こうとはするなよ。首長の側近のイリレスに目を付けられるとまずい。
広間の西側にある厨房の階段を下りろ。首長のバルグルーフがイリレスに隠れて街の酒場に出かける時に使っている経路だ』
『階段を下りた先は使用人の部屋で、その先は執政の部屋に通じている。
使用人に見付かるなよ。バルグルーフは見逃してもお前は見逃してはもらえん。
見付かればすぐさま衛兵が駆けつけてくるだろう』
『執政の部屋の机の上に牢獄名簿があるはずだ。
アーンの名前を、こちらが用意した新しい身分の名前に書き換えるんだ』
『執政の部屋からさらに首長の私室に行くことができる。
言うまでもないが警備の衛兵がわんさかいるぞ』
『首長の私室の手前には、首長の子供たちの部屋がある。
首長にはダグニー、フラザー、ネルキルの三人の子供がいる。子供は目ざとい上にはしこいからな、充分気をつけろよ』
『アーンの手配書がもし既にまわってきているなら、首長の机の上に置かれているはずだ。
そして、まだ机の上にあるという事は首長が目を通す前だ。すみやかに盗み出せ。』
『首長の部屋のベランダから外に出られるだろう。
屋根伝いに下りれば逃げ出せる。おっと、これは魚に泳ぎ方を教えるようなものか?
まあともかくだ、やるべき事が済んだならさっさと戻って来い。
お前が捕まっても巻き添えにされるわけにはいかん』
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