2015年6月20日土曜日

似非プレイ記 ブラッドレッドの玉座

※ ドヴァキンかも知れないしそうではないかも知れない、冒険者として生きていける程度には特別な存在というロールプレイです。
 作中のクエストとは内容が違う場合がございます。というか違います。



 アイナ達はファルクリースで従士に任命された後、同じく従士だというデンジェールに会いに行った。

「じゃあ、墓荒らしをしてるのは吸血鬼であなたの祖先のヴィグハールって奴だから倒して欲しいって事ね?」「う、うむ。表沙汰になれば我が一族にとって大変な恥だ」
「表沙汰になろうがなるまいが恥は恥だと思うけど。まあいいわ、貴方を責めても仕方ないし倒してきてあげるわ」

「老人に対してずいぶんと棘のある物言いだったわね」
 ヴィグハールが根城にしているというブラッドレッドの玉座に向かう途中でドロテアがそう話しかけてきた。
「ん?あぁ・・・ちょっと大人気なかったわね。 」
「彼が何か癇に障ったの?それとも同じ従士があんな老人でがっかりした?」
「ん~・・・さっさと人数を集めて倒しに行けばいいのに、一族の恥とやらを隠したいからかそれをしなかったあたりが気に入らなかったかな」
「従士といっても私兵の一人もいない名誉職みたいだし仕方ないんじゃない?」
「ずいぶんと彼を庇うのね。ドロテアはああいうのが好み?」
「冗談。彼が・・・そう、50歳若かったら考えてあげてもいいけど」
「・・・・・・それじゃあなたより年下になっちゃうわよ」

 ブラッドレッドの玉座はファルクリースの南東の山中にあった。 砦の入り口の前には大量の血痕があり穏やかではない雰囲気を漂わせている。
「どうやら吸血鬼の根城はここで間違いないようね」
「それはいいけど、アイナそんな格好で寒くないの?」
 ドロテアだけはいつの間にかフードを被っているが、アイナは肩を露出した装備のままだ。
「寒いわよ。こんな山奥にあるとは思わなかったから防寒具も何も持ってこなかったんだからしょうがないでしょ」
「いくらノルドだからってスカイリムでは防寒具は常備しといた方がいいわよ」
「はいはい、こんな場所で立ち話なんてしてたらますます冷えるわ。さっさと中に入りましょ」

 アイナ達が侵入した場所は砦の広間の中二階といったような場所で、そこから広間を見下ろす事ができた。
 広間は篝火などが焚いてあり、かなり暖かい。
 篝火の横には一対の不気味なガーゴイルの像が置かれており、吸血鬼とその従徒がなにやら話をしている。
 アイナ達のいる場所からはその会話の内容までは聞き取れないが、好ましい内容ではないだろう事は予想できる。
「あのオークは?」
 広間にいる者たちに聞こえないように小声でドロテアに話しかける。
「吸血鬼の従徒ね。戦力兼非常食ってトコだけど、まだ普通の人間だから対吸血鬼用の呪文なんかは効かないわ」
「そんなもの持ってないから安心して」
「それよりあのガーゴイルの像よ」
「ん?ただの像じゃないの?」
「ひょっとしたら"動く"かもしれないから気をつけて」

 ドロテアの予想通りガーゴイルの像は吸血鬼と従徒との交戦中に石の外皮を割り破って襲い掛かってきた。
「こいつ強い!」
 アイナはガーゴイルの強力な一撃に思わずよろける。
「だから気をつけてって言ったでしょ!」
 さらにアイナに体力吸収を仕掛けるガーゴイルに、吸血鬼を片付けたドロテアが斬り付けフォローする。
「こんなに強いなんて聞いてなかったわよっ!」
 持ち直したアイナもガーゴイルに斬り付ける。
 二人掛りで何度か斬り付けるとガーゴイルはやっと膝をついた。


 砦の最奥はまるで闘技場のような造りになっていた。
 中央の広場には血まみれの死体が転がっており、広場の横の檻の向こうにはデスハウンドが唸りを上げながら次の獲物を待ち構えている。
 闘技場が一番良く見下ろせるような場所に玉座があり一人の老吸血鬼が悠然と座っている。
 おそらくは、この老吸血鬼がヴィグハールだろう。

「何者だ!」
 アイナ達が闘技場の中まで歩を進めると吸血鬼の一人が声を上げた。
 ヴィグハールは、その吸血鬼を制し静かに声を出す。
「関係ない。この愚か者がショーの次の出し物になる」
 ヴィグハールの声を待っていたかのようにデスハウンドの入っている檻が下ろされ中からデスハウンドが二人に襲い掛かってきた。

「で、ショーの次の出し物は何かしら?」
 いとも容易くデスハウンドを倒したアイナ達がヴィグハールに話しかける。

「くくく・・・すぐに後悔するぞ。ここに来るべきじゃなかったとな」
 ヴィグハールは動じる様子も無く玉座から立ち上がり広場へと飛び降りた。

 ヴィグハールとお付の吸血鬼との戦いは長くはなかった。
 そもそも体力吸収や死霊術を使う吸血鬼との戦い方は長引かせても良い事はなく死霊術で蘇った死体に構わず一気に倒してしまう方が良い。相手が強ければ強いほど。
 そして、ヴィグハールは、二人の勢いに気圧されて透明化して逃げようとした処で止めを刺され地に伏した。

「ねえねえ、ドロテアさん」
「なに?」
「身体が気だるい」
「・・・吸血鬼にならないうちにルニルさんのトコで治してもらいましょ」

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