ヴェックス姐さん以外にも盗賊としての技術の手ほどきをしてくれるギルドメンバーがいる。
開錠術はヴェックス姐さん、隠密術はデルビン爺さん、そしてスリの技術を教えてくれるのが「早業のバイパー」の二つ名を持つ彼。
知らない人間が聞いたらそのスリの技術の高さからそう呼ばれてると思うかもしれないけど、なんでもウィンドヘルムからリフテンまで走って逃げ帰って以来そう呼ばれているらしい。
バイパー本人はそういう話を隠そうともしないざっくばらんな人柄をしている。
私が子供の頃は、スリや盗みで捕まった奴は指を切り落とされるなんて聞かされてたものだけど(本当かどうかは知らない)
どうも早業のバイパーは緊張感に欠ける部分が多いように思える。
そんなギルドメンバーがいる一方で、このルーンという男はなかなかに複雑な生い立ちを持っている。
ソリチュードの沿岸で沈没した船の中にいるのを漁民である今の父に拾われ育てられたのだという。
ルーンという名前は今の父に付けられたらしい、なんでも不思議なルーン文字が刻まれた小石をもっていたからだとか。小石はウィンターホールド大学にも持っていったが何も分からなかったらしい。
ルーン本人は運命をあるがままに受け止めているようだ。
「デルビンがお前を探していたぞ、重要な依頼がきてそれをお前に任せたいそうだ」
「ふむ、どうやらお前の行動が波風を立てているようだ。民がまたギルドの噂をしだした」
盗賊ギルドの噂なんてろくなもんじゃないだろうけど
「実はちょうど特殊任務が舞い込んできたところだ。こんなのここ数年なかったよ。
ウィンドヘルムのトルステン・クルーエル・シーからの知らせだ。競合ギルドが活動を始めようとしているらしい。
それだけじゃない。我ら盗賊に奴らの獲物を殺したという汚名を着せようとしている」
競合ギルドとは初耳ね。しかも、どうやらろくでもない奴らみたいだ。
盗賊ギルドは基本的に「殺し」はやらない。
山賊や強盗とは違い「気付かれず傷付けず盗む」、それが盗賊としての美学であり誇りだ。
身にかかる火の粉を払うために剣を手にする事はあるけれど、そんな状況になってる時点で仲間内からの評判は下がる。
そんな私たち盗賊ギルドに殺しの濡れ衣を着せようなんて性質が悪いなんてもんじゃない。
「ウィンドヘルムに行ってトルステン・クルーエル・シーに会え。
詳細な事情を聞いて競合ギルドに我々に害を及ぼそうとすればどんな目にあうか思い知らせるのだ」
もちろん、彼の依頼も受けた上でね。
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