2016年5月20日金曜日

小さ子信仰から見るJRPGの主人公

いつもの出鱈目こじつけ論です。スカイリムとはあまり関係ありません。




 蔑称として使用される"JRPG"の批判として挙がる理由の一つに「なぜ主人公は子供なのか」というものがあります。
 確かに日本のRPGの主人公は10代という設定が多く見られます。また、パーティーメンバーも同年代が入ることが少なからずあります。
 対して、海外のRPGやオープンワールド系のゲームは成人(というかおっさん)が目立つようです。(エツィオはⅡ開始時点で10代だったりフェイブルの主人公だとかいう例もありますが)

 日本のRPGの主人公が子供(少年少女)である理由としては「プレイヤーの多くが子供であるため、プレイヤーキャラも子供の方が感情移入しやすい」というものが挙げられます。おそらくこれが最も分かりやすく正解に近い答えだとは思いますが、ここはあえて小難しい理由にこじつけてみようというのが今回です。

 古事記や日本書紀に記されている物語の中に「ヤマトタケル」の物語があります。
※青空文庫で読める「古事記物語」(著 鈴木三重吉)が読みやすいのでお勧めします。
 彼が熊襲兄弟討伐を命じられたのが、まだ少年の髪型をしている頃(16歳くらい)です。
 ヤマトタケルは熊襲兄弟討伐後も出雲や相模などで数多くの武勲をあげていきます。まさにRPGの主人公的な活躍です。

 ヤマトタケルの物語の他にも「牛若丸と弁慶」「一寸法師の鬼退治」「桃太郎の鬼退治」など小さい者が大きいものを倒すという物語が目立ちます。
 これは、弱い立場のものの味方をしたくなる感情(判官贔屓)であったり自分より大きなものへと立ち向かうという美徳があるためではないかと思います。
 対して海外は「対等な勝負」にこだわる傾向があるような気がします。

 それに加えて日本に昔からある「小さ子信仰」も物語の成り立ちに関係していると考えます。
 小さ子信仰とは、スクナヒコナに端を発する「神(あるいは申し子)は小さい姿で現れ福をもたらす」といったような信仰です。
 桃から生まれた桃太郎であったり一寸法師であったり竹から生まれたかぐや姫であったり・・・いや、かぐや姫は債務が残ってるんでアレか。
 海外でもドワーフやエルフといったものやグリム童話の「靴屋の小人」やクピドーのイメージを取り入れて以降の天使などがあります。

 RPGの主人公は大抵の場合は「世界を救う」ので「小さ子」であっても左程違和感は感じないという土壌が出来上がっていたのかもしれません。


 もう一つ「細身のキャラ(あるいは子供)が大きな武器を振り回すのはおかしい」なんて事も言われたりもします。
 特筆こそされていませんがヤマトタケルも兄をちぎり殺すという怪力を見せています。
 桃太郎はきび団子を食べて力を出すだとか金太郎は鉞をかついで熊と相撲をとるなどの昔話も多いですが怪力、大力(だいりき)、千人力などの伝説は女性が目立つように感じます。
 RPGでも天外魔境のツナデのような小柄な女性が怪力だったり大きな武器(斧やハンマーなど)を使用するケースが少なくないように感じます。
 (ゲームではありませんが侍戦隊シンケンジャーでのシンケンレッド(志葉 薫)が烈火大斬刀を蹴り上げて振るアクションが好きです)
 これもまた、男性より小柄な女性を「小さ子」として見ている側面があるのかもしれません。
(単にデザインとして面白いからという感じもしますが)

 怪力であったり異常生誕(あるいは勇者の子孫)といったものが神(の申し子)、RPG的な表現をすれば「選ばれし勇者」の記号として使用されているのではないかと感じます。

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